いつもお世話になっております。
島之内フジマル醸造所の店長の河端です。
勤続13年目になり、ずっとフジマルのセレクトと共に歩んできましたが、新たな試みとして『酒屋』目線ではなく、『ソムリエ』目線でのおすすめのワインをご紹介させて頂くことになりました。
これからワインを覚えていこうと頑張っている若手の方などのワイン選びの助力になれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
第六回目はこちらのワインを紹介させて頂きます。
アリアンナ オッキピンティ
イル フラッパート 2021年(赤)
(産地)イタリア シチリア州
(品種)フラッパート
(醸造・熟成)ヴィットーリアの土着品種ではあるが、主に補助品種としてネーロダーヴォラにブレンドされることが多いフラッパート。ネーロ ダーヴォラほどの力強さはないが、「独創的で反抗的な私に最も似ているワイン」とアリアンナが評する通り、このブドウならではの華やかな香りと決して軽くはない奥行きを持ち合わせる。
約1か月セメントタンクでマセレーション後、2500Lのスラヴォニアンオーク樽に移し14ヶ月間熟成、ボトリング後、1ヶ月休ませてからリリース。
【河端とこのワイン】
造り手のアリアンナ・オッキピンティさんに初めてお会いしたのは2011年11月に大阪で開催された『ヴィナイオッティマーナ大阪』の会場でした。
少し浅黒い肌に黒の長髪、りりしい眉毛の地中海美人を絵に描いたような容姿の彼女。
ちょっと近寄りがたい感じの方なのかなぁ・・・。っと勝手な想像をしていたのですが、
会場を見渡して彼女をみつけてブースに駆け寄ると、頭には手拭いが鉢巻のように巻かれ何故か割り箸が刺さっていました(笑)
『どういう流れでこんな姿に!?』と一瞬戸惑いましたが、気さくでユーモラスな方で一気にファンになりました。
二度目にお会いしたのは2015年に開催された『ヴィナイオッティマーナin福岡』の会場でした。彼女のまわりにはゲストは勿論、他の生産者、スタッフさんと人だかりができていてムードメーカー的な、あらためて人を引き付ける魅力に溢れた方なんだな~と感じました。
地元の名士を親に持ち、叔父も有名なワイナリーの経営者、22歳という若さでワイン造りをスタートさせ『ワイン界のサラブレッド』と語られる事も有り、恵まれた環境を妬まれる事もあったそうです。
ただその内状は決して容易なものではなく、スポンサーである父親との経営を巡る確執や、田舎の閉塞的な男社会な農家との闘いなど様々な問題がありました。
反骨精神、バイタリティーに溢れた彼女の生き方に、僕も頑張らなきゃな・・・。と力を湧き起こさせてくれる造り手さんです。
今回ご紹介するアイテムは、彼女の生まれ故郷であり、畑、ワイナリーを構えるシチリア島の東南部ヴィットーリアに起源を持つといわれている『フラッパート』を使用したワイン。
この地の個性を感じ取るのにピッタリなワインだと思います。
【テイスティングコメント】
色調は明るいルビーレッド。粘性は中程度。
香りはアメリカンチェリー、薔薇、赤紫蘇、フレッシュオレガノ、ナツメグ、樽香、複雑で華やかな印象。
トップのチェリーのような甘酸っぱい果実味とミドルに伸びる小梅のような酸味、アフターにじわっと口中に広
がる細やかなタンニン、余韻も長く、スムースな飲み心地の軽やかなタッチですが骨格はしっかりとしています。
飲用適温は 17°C前後が良いと思います。フレッシュ&フルーティータイプのフラッパートはもう少し低めの温度
帯をオススメされる事が多いですが、こちらのアイテムに関してはあまり低すぎない方が味わいのバランスも良
く、複雑な要素を感じやすいと思います。
おすすめのグラスの形状はやや大ぶりなブルゴーニュグラスです。
香りの広がり、複雑性、官能性、余韻の長さを引き出してくれます。
抜栓したてから柔らかな印象で、徐々にフルーツのニュアンスからハーブやスパイスの香りが広がっていきます。
島之内フジマル醸造所のレストランでは『鰯とフェンネルのオレガノ風味のラグーソース カサレッチェ』に合わ
せてオススメしております。
脂ののった鰯、フェンネル、レーズン、松の実を少量のトマトソースで煮込み、仕上げにサクサク食感の香草パ
ン粉をかけた THE シチリアなパスタ料理。
構成される食材とワインに共通する香り、料理とワインの味わいと重さも丁度バランスが取れていて、口中での
なじみが非常に良いです。
ワインと料理の地方性による結びつきは味わいの次に考えが浮かびますが、こと今回のペアリングに関しては非
常にマッチしており脳内シチリアトリップができました。
その他、トマトとの相性が良いのでカポナータや、スパイスやハーブとの相性も良いのでラム肉とパクチー&ク
ミンの餃子も愉しい合わせ方かと思います。
島之内フジマル醸造所
店長 河端 浩史
■【ワインについて】(インポーター様資料より)