圧倒的な存在感を放つ異色のシャルドネ
2018年の収穫を最後に引退
産地:フランス ブルゴーニュ
品種:シャルドネ
4~5年に1回しか造らないキュヴェ・セレクション216。古樽で醸造しているが樽臭がワインに吸収され、その後繊細
になったところで、さらに樽の香りが消えるまで待つ。区画名はBaclot。15年以上の瓶内熟成を経た味わいは、まさに
素晴らしい熟成を遂げたグランヴァンの味わいです。
【生産者について(輸入元様資料より)】
自然派の中でも究極の自然派蔵元、Gilles et Catherine Verge ジル・エ・カトリーヌ・ヴェルジェ。
S.A.I.N.S「Sans Aucun Intrant Ni Sulfite」(自社畑で有機栽培もしくはビオディナミ栽培を行い醸造におい
て瓶詰めまで一切SO2を添加しないグループ)のリーダーである。厳しい条件にメンバーの数は年々減少し
ているが、それでも未だロワールのオリヴィエ・クザン、ジェローム・ソリニー、アルザスのジャン・マル
ク・ドレイヤー、ラングドックのジュリアン・ペイラなど、自然派において影響力をもつ生産者達が名を連
ねる。
そんな彼らが所有するぶどう畑の樹齢は94年から132年。植樹する場合は132年のぶどうの樹にマークをつ
け2年間のぶどうの出来を見て最良の枝を3年目に切り取り2年かけて接木をし苗木を作る。ぶどうの樹がワ
インを造るまで10年の歳月をかけている。剪定は遅く、暖かくなって樹液が上に上り始めたタイミングで行
うことによって、ぶどう畑の樹が雑菌を吸収しないようにしている。そのタイミングは燕の飛来時期を見て
決めるという。ぶどう畑には25種類程の多様な植物が溢れ、活きた土壌を保っている。カーヴは常に6度か
ら8度にコントロールされており、土の中と同じ温度にすること、野性酵母が動きやすい環境をつくりだす。
アルコール発酵、マロラクティック発酵にかける時間は約3年。低温でゆっくりと発酵を進め、そこからさ
らに2年程熟成させる為、収穫からビン詰めまでは最低5年をかける。だから、彼らのワインのヴィンテージ
はlotで表記される。lot 0205だったら2002年に収穫した葡萄で2005年に瓶詰めを行なったという意味。
醸造は「selection]と表記のあるもの以外は全て琺瑯タンクで行われる。
密閉しているのに酸化のニュアンスがあるのはなぜ?と尋ねたことがあった。
ジルは天体とくに月と地球と生体についての学者でもある。「タンクの蓋を年に2回一瞬だけあける。」そ
れが回答だった。実際にその蓋を見ると、なんと!直径10cmくらいのまるい小さな蓋だった。
ジルは片手で回しあけてみせた。年に2回のタイミングというのは新月になる直前、重力
が一番強くなるタイミングに人間でいうと治癒力が下がる。酸化が一番進み速度が上がるタイミング。蓋を
あける長さは、どれだけ酸化させたいかによる。3,4分の場合もあれば2009年に関しては15分間あけた。時
間も場合によるので、そのタイミングが深夜2時になることもあった。
彼らのワインに共通して言えることは香りのインパクトに対して飲み心地が素晴らしく優しいこと。香りで
熟成を感じても口に含むとどこまでもフレッシュなのだ。彼らが拘り抜く理由がそこにある。発酵熟成に時
間をかけることは危険を伴うこと。収穫した葡萄が健全ということだけでは上手くいかない。全てを失う可
能性がある。それでもこの方法を続けるのはいつまでもピュアなフレッシュ感をワインにもたらせるため。
どんなに飲んでも飲み疲れない。むしろ飲み続けると元気になっていく。唯一無二の液体といえる。
2018年の収穫を最後にぶどう栽培から引退を決めたジルとカトリーヌ。最後のヴィンテージ
がリリースされるのはまだ少し先になりますが、彼らの強い信念のこもったワインを大事に
流通させていきたいと思います。