品種:デラウェア(大阪府産 100%)
●キュベに込めた想い
『自社デラウェアの美味しさを classic な作りに落とし込んだらどんなワインになるだろう?』
という好奇心から、2021 年から造り始めたキュベ。
フジマルのワインつくりの基本は、野生酵母で自然発酵、亜硫酸は瓶詰めまで使用せず、瓶詰め時も必要な
時に僅かに添加するのみ。ワインに含まれるのは、基本的にブドウだけ。補糖や添加物・培養酵母に頼らな
い、もともと classic なつくりともいえるのですが、このキュベ「classic」が表す特徴は、特に「醸し×木樽熟成」の
部分のこと。現代的なステンレスタンク熟成、トラディショナルなクヴェヴリ(甕)熟成とはまた異なる“classic な”
デラウェアの美味しさをコンセプトにしています。
●デラウェア×醸し×フレンチオーク
前回のつくりで、大阪のデラウェアを醸したオレンジワインとフレンチオークが良い調和を生み出すことがわか
りました。どうやら、果皮の味が「濃い」大阪のデラウェアは木樽熟成と相性が良いようです。
前ヴィンテージでは、パワフルなオレンジワインを新樽で熟成することで、輪郭がはっきりしたボリューム感の
強いタイプの美味しさを前面に出しました。
一方、この 2022 ヴィンテージのデラウェアでつくったオレンジワインは、どちらかというと優しい旨味が特徴のス
ルスル系。ならば、と前回とは趣向を変えてメロウな味わいを目指しました。
オレンジワインを 2 年目のフレンチオーク樽で熟成し、それに古樽で熟成したデラウェアの白ワインをアッサン
ブラージュ。それによって香りもタンニンも落ち着いた味わいに。また、古樽内で自然に進行したマロラクティッ
ク発酵による柔らかさが全体を丸く調和させてくれました。
繊細な和食にもうまく合わせることができる落ち着いた香り、油脂を含んだ料理と合わせてもさっぱりと引き締
めてくれる優しい酸とタンニンの余韻。「木樽熟成のデラウェアってこんな表情も見せてくれるんだ」という新た
な楽しみを皆さんにお届けできればうれしいです。
テクニカルノート
(オレンジ)熟したデラウェアを除梗破砕して樹脂の開放タンクで 2 週間自然発酵。ピジャージュは毎日
しっかりめに行い、メンブレンプレス機で搾汁後はフリーランとプレス分を合わせ、完全発酵を確認後、
2 年目のフレンチオーク樽へ。(白)熟したデラウェアを全房で搾汁後、樹脂の開放タンクで 2 週間自然
発酵。完全発酵を確認して澱引き後、古樽へ。どちらも約 10 ヶ月の木樽熟成の後、ボトリング時に亜硫
酸塩 30ppm のみ添加しています。
フジマル醸造所(島之内・清澄白河)の成りたち:
2010年、ワインショップFUJIMARUやカーヴ・デ・パピーユなどワインショップを経営する株式会社パピーユが、ボランティア数名とともにカタシモワイン&フード(通称カタシモワイナリー)より、柏原市大県(おがた)にある『堂の内畑』(マスカットベリーA)を借り受け、カタシモワイナリー内にて委託醸造を開始、『ドメーヌ・デ・パピーユ』ブランドのスタート。2011年、耕作放棄地であった『岩崎谷畑』を大阪府の外郭団体みどり公社の斡旋で地主さんより借り受ける。再開墾し垣根仕立てのぶどう畑(メルローなど)を造成。2012年、高井田にてデラウェアとベリーAの畑を新たに賃借。また、羽曳野市の飛鳥ワインにて太子町のデラウェアを委託醸造。2013年、大阪市中心部、島の内にて醸造所を設立。自社畑産ブドウのほか大阪や日本各地から買いブドウを仕入れて醸造しています。日本でも類を見ない都市型ワイナリー『島の内フジマル醸造所』です。2013年以降はすべて島之内フジマル醸造所にて醸造。そして2015年8月には東京・清澄白河にフジマル醸造所をオープン。こちらではおもに東日本のブドウ栽培農家さんから原料葡萄をわけてもらって醸造しています。
ぶどう造り:
約2haの自社管理畑のブドウから造ったワインは「キュベパピーユ・シリーズ」としてリリースしています。その他に日本各地から質の良いブドウを仕入れ醸造を行っています。自社管理畑ではボルドー液以外は年に2~3回ほどの防除のみと減農薬を心がけ、農作業はすべて手作業で注意深く行いました。収穫されたブドウは選果、粒よりし健全な粒のみを使用。ワインをお飲みになるお客様の顔を想像しながら、スタッフとボランティアの方々とで力をあわせワインを造りました。本当にたくさんの人に手伝っていただいたおかげで私たちのワインは出来上がっています。